家事の動線や家具や家電の配置、コンセントの数などについては、間取りを考える際にしっかり計画を立てる人が多いでしょう。
しかし、新居のネットワーク環境をどうするかについては、十分に考えないまま家づくりを進めてしまうケースが少なくありません。

ここ十数年で、ネットワーク接続を必要とする電子機器は格段に増えました。
パソコンだけでなく、デレビやレコーダー、ゲーム機などに加えて、エアコンや冷蔵庫などの白物家電についても、インターネットに接続して使用する機能が搭載されたモデルが登場しています。
携帯電話についても、ガラケー時代とは違い、スマートフォンをWi-Fiに接続して利用する場面が増えています。

インターネットは私たちにとってなくてはならない存在であり、快適な住宅づくりにおいても、忘れてはなりません。
また、今後も同様にインターネットへの接続が必要な機器は増えていくことも予想され、将来を見越した余裕のある環境作りが必要となっています。

ネットワーク環境を考えるタイミングは?

一般的には、電気の配線や電話の配線を決めるのと同じタイミングで考えられることが多いようです。
しかし、快適で使いやすいネットワーク環境をつくるためには、もう少し早いタイミングで考え始めることが必要です。

電気の配線の場合、必要な場所も配線のパターンもある程度限られています。
間取りが決まった時点で家電の配置はほとんど決まっているでしょうし、照明やスイッチ類の配置についても家具の場所やドアの位置が決まっていれば自然とあるべき場所が定まります。

スイッチや照明、コンセントなどは壁や天井につけるものであるため、位置をずらしても邪魔になることも少なく、融通も効きます。

では、ネットワーク環境を考えるタイミングはどうでしょうか?

ネットワーク環境の中心となるのは、まずモデムとルーターです。

モデムもルーターも大きな機器ではありませんが、意外と場所を取ります。配線だけでも、インターネット回線のためのケーブル、それぞれの電源を確保するための電源ケーブル、モデムとルーターをつなぐためのケーブルが最低限必要になります。
ルーターに有線接続する機器があればさらにLANケーブルが繋がるため、モデムとルーターのまわりは配線だらけになります。

場所を取るのは、配線だけではありません。
ネットワーク機器の発する熱を逃がすためのスペースも必要になります。熱の逃げにくい狭いスペースに押し込めてしまうと、故障の原因となることもあります。ある程度の風通しを確保しておきたいです。

モデムやルーターの設置のためには、配線と排熱の余裕がある、ある程度のスペースが求められます。床に直置きするとホコリが溜まる原因になるため、棚などを用意する必要があるでしょう。

棚をおくとなると、間取りが完全に固まった後では遅すぎます。電気と同じタイミングではなく、間取りを考える段階でネットワーク環境のことを考えなくてはならないのは明らかです。

また、有線接続する機器がある場合は、その配置にも気を配らなくてはなりません。
部屋の中をケーブルが横切ることのないように、ルーターとの距離や壁の中への配線の有無を考えなくてはなりません。

無線LANと間取り

無線LANを使用するのであれば、間取りを気にしなくても大丈夫と思うかもしれませんが、それは誤りです。

無線LANの安定性は向上していますが、電波の強度には法律による制限があります。あまり離れた場所には届きません。

一般的な無線LANルーターの場合、直線距離であれば100mの距離まで通信可能と言われています。
ただしこれは何もない空間に限った場合の話で、間に障害物がある場合、通信可能距離は短くなります。壁や床はもちろん、ふすま程度の障害物でも電波強度に大きな影響を及ぼします。

家の端に無線LANの親機を配置した場合、間取りや障害物の状況によっては家の反対側では通信しづらくなってしまう可能性があります。

家じゅうで快適に無線LANに接続できるようにするためには、家の中心に親機を設置するのが一番です。
しかし、家の真ん中に無線LANの親機を設置するためのスペースを確保するのはなかなか難しいものです。直接触って利用するわけではない機器を家の真ん中の便利な位置におくのは勿体ないですし、間取りを決めた後では置き場所を確保すること自体が困難になります。

無線LANを利用する場合でも、間取りの段階からネットワーク機器の置き場所についてはよく検討する必要があります。

無線LANの親機は1階におくべきか、2階におくべきか

2階建てや3階建ての住宅の場合、どの階に無線LANの親機をおくかというのも重要な問題になります。

先に述べたように、無線LANの電波は障害物による影響が大きく、設置場所によってどれだけ快適に通信できるかが変わります。特に真上・真下の方向には弱いため、2階建て以上の住宅では気をつけるようにしましょう。

基本的には、無線LANに接続する機器を一番使う階に設置するのが良いでしょう。1階にリビングがある場合は、1階に親機をおくのがおすすめです。

親機がある階とは別の階でも快適に通信したいという場合は、無線LAN中継器を使用するのも良いでしょう。中継器はコンセントに中継器を指すだけで利用でき、簡単に電波の届く範囲を広げることができます。
中継器はコンセントに直接ついた形の物が多いため、設置スペースはあまり必要としませんが、コンセントを一つ占有してしまいます。中継器の使用を考えているのであれば、専用コンセントを一つつくっておくと良いでしょう。
また、電波を遮ってしまうような物陰に設置してしまうと、せっかくの中継器の効果を弱めてしまうことになります。コンセントと合わせて、周囲の家具の配置についても配慮が必要です。

有線接続と無線接続

いくら無線LANが使いやすくなったと言っても、やはり安定性と速度はまだまだ有線接続の方が圧倒的に上です。

あまり移動しないものや通信量の多いものについては、有線LANで接続し、移動の多いものについては無線LANを利用するなど、使用する機器によって使い分けするようにしましょう。
テレビやレコーダーなどは移動もなく、ネットワークに接続している機器が集中するため、その近くにモデムやルーターをおくのも良いでしょう。

ルーターや無線LANの親機は1階に設置するのがおすすめですが、2階に書斎があったり個人の部屋があったりなど、2階でも有線LANを使いたいというケースもあるでしょう。

こういった場合は、部屋の中にケーブルを這わせるのではなく、壁の中に配線してもらうのが一番スマートです。費用はかかりますが、ケーブルが邪魔にならず、掃除も楽です。
今は有線接続の必要がなくても、将来必要になるかもしれません。あとから壁の中に線を通すのは難しいため、将来の拡張性を考えて、空配管だけしておくのもおすすめです。